完敗

大学ラグビー準決勝(2021/1/2)。明大対天理大は天理が攻守ともに明治を終始圧倒した。強い当たりと素早い展開をを80分間継続して決勝進出を決めた。帝京大が9連覇のなかで確立した強くて負けないラグビーを天理がやった。母校の優勝を願っていたが、天理を褒めるべきだろう。

 

明治は、試合開始のキックオフでボール保持できなかったのが痛かった。ここでマイボールを継続していれば波に乗れたが、フッカーがつまらないミスを犯して流れが変わってしまった。天理は明治の攻撃に対して絶えず3人で防御しており、トライチャンスをことごとく潰していた。明治はライン攻撃を続けようとするが、その堅い防御のせいで徐々に攻め手を欠いてしまっていた。そして焦りが生まれ、天理にターンオーバーされる場面が増えていった。

 

 

気迫の点でも天理に負けていた。攻守ともに劣勢になると気勢は上がらないから仕方ないが、余裕をなくしてプレーに自信をなくしていた。こうなると悪循環はなかなか改善できない。後半、対フィヒタの対面である児玉を下げたが効果なし。逆に見透かされてフィヒタがほかの選手にパスして翻弄していた。

 

明治は伝統的にスロースターターで、試合の入りが非常に下手である。チャレンジャーの気持ちが足りない。高校日本代表がズラリを顔を並べているので、試合慣れしている。4年前まで続いた低迷は、ひとえに気持ちの問題だけだった。

 

帝京に負け続けたのは、この1点と言っても過言ではない。強い当たりと素早い展開を80分間続ける。これが現代ラグビーの基本になっている。早稲田然り。これをやったところが勝ち、できなかったチームが負ける。やり遂げるためには気持ちが一番大事である。根性論といわれるかもしれないが、体を当てるスポーツは理屈ではないのだ。体を当てないスポーツでも、気持ちが前面に出ない選手は活躍することは不可能である。また頭の悪い奴も活躍できない。

 

試合終了が近づいたころ、画面はさかんに明治の箸本主将の表情を捉え続けていた。妙に達観したようなサバサバした顔をしていた。長身の片倉は泣いていた。8番の箸本と10番(本来は12番)の森が東福岡高校から来たのが4年前。ラグビー通の知人が「この2人が入ったことで明治は確実に強くなる」といっていた。その通りになったが、4年間で大学日本一が1回だけ。期待が大きかった分、不満が残る。

 

気持ちが切れるとチームの士気は低下する。そうなると今の帝京のように黄金期から滑り落ちるのに時間はかからない。明治がそうならないことを祈るばかりである。