暗愚の会長

(五輪の開催や延期などに対して)我々は、何の決定権もありません――。

山下泰裕(62)は、やはり暗愚の会長だった。選手の声に耳を傾けることを否定しただけでも不見識なのに、国内の五輪関係者のトップとしての矜持が微塵もない。この歳になるまでJOC会長に推挙されなかっただけのことはある。

 

幻の五輪となったモスクワ大会の不参加で、大粒の涙を流して悔恨の情を見せた、世界に誇る無差別級の絶対王者の態度とは到底思えない、選手への無理解である。選手の強化費だか奨学金をピンハネしていたとの疑惑が出ているレスリング協会の高田某も、モスクワ五輪ボイコットで男泣きした選手だった。

 

あれこれ考えると、わが国スポーツ界に傑物は存在せず、無能で無知・無恥ばかり輩出している。僅かに卓球の荻村氏(故人)くらいしか思い出せない。

 

 

何の決定権もないなどと言ったら、身も蓋もない。同じく暗愚の宰相などが開催、開催と連呼するのは立場上仕方がない。それと同様に、ヤマシタも建前を主張する気持ちは分かる。だったら、そのあとで決定権がないなどと責任逃れのようなことを言うでない。

 

この人の柔道は、強いが見ていてつまらなかった。それはまた、実務能力や表現力に通じるだろう。小説は面白いが、話はつまらないという作家が例外的にいるが、スポーツ選手で、コメント力のない者はプレー自体も面白みに欠け、魅力に欠ける場合が少なくない。

 

五輪はメキシコ大会まで熱心に見たが、それ以降は関心ゼロである。やっていれば見るが、永久になくなっても差し支えない。プロ野球とゴルフ、ラグビーがあれば十分。人混みが増える大きな大会は、できるだけ避けたい。ウィルスがあろうとなかろうと、御免被りたいのだ。それよりも、無観客でのプロ野球と女子プロゴルフツアーの公式戦開幕を一刻も早く実現してほしい。