チンピラ議員

聞かれたら丁寧に応えておくのが賢明、という教訓ではないか。報道でこの人の肉声が流れたとき、大方の人は嘆息したはずだ。「知らねえよ」「もらってねえよ」などと喋った時点で終わり。この頃は育ちの悪い奴が政治を騙って食い物にする風土がすっかり定着した。だから、こんな下品な男が何を言おうが驚かない時世になる。

 

副大臣の椅子に座り、傍らには支援者でIR汚職の手引きをしたとされる若造が親指を立てている。お互い、まんざらでもなさそうな微笑を浮かべて写真に収まっている。支援者はまた、別のスナップでは札束を前に、今度は人差し指で大金を指し示してご満悦である。モノを指さすのが好きなのだろう。変わった御仁である。

 

報道番組で、某キャスターが「登場人物があまりに小物過ぎて・・・・」と失笑していたが、そのとおり。政界汚職といえば、政治家や右翼の大物が暗躍し、その後映画化されるのが常だった。今回のIR汚職は、どんな優秀な脚本家をもってしても、良いシナリオは描けない。素行不良の半生を描く『チンピラ議員野郎~汚職一番星』あたりが関の山か。

 

贈賄した側がカネを渡したと言っているのだから、貰っていないことはあり得ない。直に貰わなくても、秘書が受け取ったり、関係のある企業の口座に振り込まれたりしているのである。そもそもカジノを作る仕事にきれいな話があるわけがない。ワルい話に悪がうごめいたこの話に深みはなく、政争の具以外に使い道はない。